まれ変わってもキミと一緒に




「トランクス君は、もし生まれ変わるなら何になりたい?」


 いきなりそんな質問を投げ掛ければ「はあ?」と言われながらこっちを振り向かれた。その表情はまさにいきなり何を言い出すんだとでも言いたそうだ。
 もう一度「だから生まれ変わるなら何になりたい?」と尋ねてみても表情はさっきと大して変わらない。何が言いたいと訴えている瞳に「どうなの?」としつこく聞く。


「そんなこと言われたって、考えたことなんてないからな……」


 突然そんな質問をされても答えが簡単に見つかるわけがない。その意図を伝えると「そっか」と納得された。それから続けるようにして今度は同じ質問を悟天は自分で答えた。


「ボクはね、生まれ変わってもボクになりたい」


 その答えを聞いて、それこそトランクスは“コイツは何が言いたいんだ”という目を向けてくる。ついでに“何が言いたいんだ”と言葉にせずとも伝えている。
 全く、生まれ変わったら何になりたいという質問だったはずだ。それなのに自分になりたいと答えるのはどうなのか。生まれ変わってもまた同じようにやっていきたいとでもいうのだろうか。そんなことを聞いてくるのだから、てっきりもっと別の答えが出てくるのだろうと思っていたというのに予想外を通り越すくらいの答えが出てきた。
 悟天自身はそのような答えを出したわけだが、これに対して一体どんな答えをすればよかったのか。ますます意味が分からない。すると悟天はもう一言付け加えた。


「それでね、トランクス君もトランクス君になってよ」


 付け加えられた言葉にもうどう反応すればいいのかとさえ思う。話の意図が全くといっていいほど読み取れない。何が言いたいのかさっぱり分からない。
 思い切って単刀直入にその意図を尋ねる。


「お前は何が言いたいんだよ」

「だから、生まれ変わったらボクはボクになるから、トランクス君はトランクス君になって欲しいんだって」

「そうじゃなくて」


 もっと根本的なところを聞きたいと言っているのだが。
 そう伝えれば、そういうことかと頷いて、トランクスに笑顔を向けながら悟天は言った。


「だって、人は誰でもいずれは死んじゃうでしょ? それでも、ボクはトランクスくんと一緒に居たいから」


 いきなりの告白。予想外の言葉にトランクスは驚いた。意図の読めなかった話の意味はこういうことだったのかと理解する。
 悟天の意図にトランクスも優しく笑って答える。


「それならオレは生まれ変わってもオレになってやるよ。だから、お前もまた悟天になれよ」


 そう話すと悟天は嬉しそうに「うん」と頷いて「約束だよ」と言った。トランクスもまた「約束する」と言って指切りをした。


 もしも、ボク達が二度と会えない別れに直面することになったのなら。それから何年後。いつになるかは分からないけれど。必ず生まれ変わるから。
 ボクはボクに。キミはキミに。
 だから、ねぇ。約束をしよう。また必ず、ボク達が出会うことを。また一緒にいようと。

 いつまでもキミと一緒で在りたいから。
 大好きなキミと。










fin