此処、木ノ葉学園は全寮制。学年ごとに寮が分かれており、更に男女で分かれている。一つの部屋は四人。メンバーは教師によって決められている。
 とはいえ、個人能力によって分けられているわけではない。要は適当というわけだ。一年生の時に決められたメンバーのまま上がっていくことが殆ど。ある意味これも一種の運命共同体というやつだろうか。



退




「あー……退屈だってばよ」


 木ノ葉学園、二年A組のうずまきナルトは部屋で寝転がりながらそう呟く。成績は学年の中で最下位。唯一、体育のみが得意教科だ。体育だけは成績がいい。明るくて元気でいつも五月蝿いというのがナルトの印象だろうか。何事も前向きに諦めずにやるというところもいいところである。誰とでもすぐに友達になれるようなタイプだ。
 そんなナルトの様子を見ながら、ナルトとは反対の方から声が聞こえる。


「確かにそうだよな。やることねぇし」


 ナルトと同じく木ノ葉学園二年A組の犬塚キバ。成績はナルトと同じようだが少し上だ。第三者にいわせれば五十歩百歩。得意教科は体育。クラスではナルトと一緒に騒いでいたりする。全寮制なので一緒には居ないが、赤丸という犬を飼っている。家に帰った時は必ずといっていいほど遊んでいるだろう。親がペットショップや獣医をやっていることから動物が好きだ。


「だよな! なんでこう暇なのかな」


 起き上がったナルトはキバとテーブルを挟んで向き合う。二人はクラスでも一緒に騒いでいるような奴で気が合うらしい。逆に合わない時はとことん合わなかったりもするけれど。
 そうやって二人が意気投合していると、今度はベットの上から声が降ってくる。


「ったく、めんどくせー奴等だな。やることねぇなら昼寝でもしてればいいだろ」


 彼も同じく木ノ葉学園二年A組である奈良シカマル。授業は面倒だからといって真面目に受けたりはしない。だけどIQ二百の持ち主でテストの成績は良い。体育で戦う時にシカマルが戦略を練れば大体勝てるのではないだろうか。けど、本人はやる気無し。「めんどくせー」が口癖となっている。それでも意外と女子にモテていたりする。


「そりゃ、お前は昼寝が好きだからそうしてりゃいいだろうけどオレ等は違うんだぜ」

「そうだってばよ。昼寝してるより何かしてた方が楽しいってばよ」


 シカマルの趣味は昼寝。だから暇があれば寝ていたり、授業中に寝ていることもある。ナルトやキバは体を動かしていたいタイプ。だから寝ているのなら外で何かしていたいと思うのだ。シカマルにとっては面倒なことでしかないがナルト達からすればその方が楽しい。
 そんな話をしていれば、今度はまた別の方から声が聞こえる。


「やることないなら勉強でもしろよ」


 彼も木ノ葉学園二年A組のうちはサスケ。成績はトップクラス。頭脳は優れていて運動神経も良い。おまけに顔まで整っている。当然女子の人気の的だ。学校でもかなりの人数がサスケを狙っている。本人は全く興味がないが。クラス委員長を立候補したわけではないがやっている。それも全て担任が悪いというのは彼の言い分。
 ナルトにキバ、シカマル、そしてサスケの四人がここのルームメイトだ。彼等は幼稚園の頃からの知り合いでたまたま一緒になった。知っている人と同じ部屋になったのだから決まった時は良かったと思った。だけど、それと同時にこの部屋は大丈夫なのかと思ったのはおそらく四人全員だろう。この四人だけでなく、この四人を知っている人達ならばそう思う。


「いつも勉強って、サスケは熱心だってばよ」


 この部屋は大丈夫なのかと思ったのもこのメンバーのせいだ。ナルトとキバが二人揃えばとにかく五月蝿い。サスケやシカマルが無理やり巻き込まれたことは何度もある。
 それとナルトとサスケ。この二人はくだらないことでも喧嘩になる。前よりは減っていても些細なことで喧嘩をしたりするのだ。本当は親友と呼べるくらい相手のことを分かっていたりするが、喧嘩や言い争いを始めたら周りが迷惑なほど。ナルトとキバの二人よりもこの組み合わせの方が何かと大変なのではないだろうか。そう思うのも不思議ではない二人。

 どっちにしても迷惑でしかないシカマルは、このメンバーだと聞いて一番大変だと思っただろう。昔から知っている奴だから仕方ないといえばそうなのかもしれないと自分を納得させる。
 今日もまたいつもと変わらないルームメイト達に一人溜め息を零した。










fin