仲間集め
『今何してる?』
『別に何も。本っつーか雑誌読んでる』
画面に表示される文字。それは自分が入力したものであったり相手から届いたものでもある。携帯を片手に持ちながら、ゴロンと寝転がりメールの返信を打つ。
『じゃあ遊び行かねぇ?』
短文で繰り返されているメールは用件のみの内容。そこに記号や絵文字がつけられていたりはするものの内容はシンプルだ。
遊ぶという文字に、どうせ今やる事もないのだからと思いすぐに返信をする。
『いいぜ。どこ行くんだ?』
表示された文字に思いついたままの返信の内容を打ち始める。メールを打つ動作は手馴れたものだ。あっという間に用件を書き込むと送信ボタンを押す。無事に送信が完了したという文字を見ると、パタンと携帯を閉じて必要なものだけを持ち家を出る。
受信されたメールの内容を読み終えると、こちらも同じように準備をして家を出た。あまり離れていない二人の家の近くにある公園にとりあえず集まろうという事になったのだ。
数分後。そこに着くと、さっきまでのメールの相手を見つける。
「よお。相変わらず早いな」
「そりゃオレの家のが近いからだってばよ」
とりあえず簡単な挨拶をすませると「行こうぜ」という言葉と共に歩き出す。どこに行くのかはさっきのメールに書かれていた。たまたま思いついた事のようであって、最初からそのつもりだったのではないかと思うような内容。その内容に驚きもせずにそのまま決まりになるあたりがこの二人らしいところだ。
「近いところからだよな。なら、まずはシカマルのとこか」
「だな。まためんどくせーとか言うだろうけど」
目的地に向かって真っ直ぐ歩いていく二人はなんだか楽しそうだ。
「シカマルを呼んだらそのままサスケん家だってばよ」
行く場所と順番を確認する。お互いにそれを把握しながら道を並んで歩く。自分達が行った時、どんな反応をするかを考えたりとそれだけでも楽しみが増えるというものだ。それが予想出来ていても、実際にそうであろうとなかろうとこういうのは楽しいものだ。
「どうせ遊ぶならみんなで思いっきりじゃないとな!」
遊ぶなら一人より二人。二人より三人、四人と多い方が楽しいというのはナルトの意見でありキバの意見でもある。少人数やこれ以上の大人数がいい時もあるだろうが、とりあえず今は四人で遊ぶ事にする。
誘いに行って断られても頼めば仕方がないといってくれる友達。だからこそ誘って遊ぼうという考えになる。
「二人共、絶対に面倒だとか断るとか最初に言うよな」
「でも、拒否権はないってばよ」
言えばキバも同意見だと返してくる。拒否されても拒否権がなければ反論は出来ない。その拒否権を本人が持っていないあたり、遊ぶのは有無を言わさずに既に決定事項となっているという事だ。
さて、さっきのメールに書いてあった事だが、それは『シカマルとサスケも誘ってどっか行こう』という内容だった。それに加えて『とりあえずいつもの公園に』と集まる場所を決めていたというわけだ。
面倒だとか文句を言われるだろう事はナルトもキバも予想がついている。それでも付き合ってくれるであろう友の姿を想像して、今日の予定を考えていく。
今日はどこに行ってどんな事をしようか。まずはいつもの仲間を集めてから。
fin