【オレンジ色の夕焼けの下で】



 他校生との果たし状による戦いも終わり、辺りを見渡してみれば夕焼けが目に入る。場所が場所だからか、綺麗にしっかりと見ることが出来る。気が付けば自然と夕焼け色の空を見ている。


「これで、もうアイツ等も懲りたかな」


 ふと、呟くように零せばすぐ近くから答えが返ってきた。


「さぁな。けど、いい加減こんな真似はしないだろ」


 一度やられ、その為の果たし状での戦いもこのような形となったのだ。次にどうこうしたところで勝てる保証など殆どない。それならば、こんなことはしないようにするのが得策というわけだ。いくらあんな卑怯な真似までしてくる奴等でもそれくらいのことくらいは分かっているだろう。
 同じクラスの仲間や先輩でも面識のある人達と一緒に居るこの場所、この時間。その中についこの間屋上で対立していたサスケも居る。友達のことをどう思っているのかということになり拳を交え、結果は互角の引き分け。そこで友達を大切に思ってないわけではないことは確認したが、こうも形になると嬉しいものなのだろうか。


「あーそうそう、わざわざ来てくれて有難うな」


 そういえばまだお礼を言っていなかったということに気付いて礼をいう。その言葉に「別にいいって」などという言葉が返される。その後に付け加えるようにキバが話す。


「そうだ。言っとくけど、一番最初にお前のことに気付いたのってサスケなんだぜ?」


 え、とつい言ってしまいながらもサスケを見れば「余計なことを言うな」とキバに言っている。一方でキバは全然気にしていない様子。むしろ、この二人の反応を楽しんでいるように見える。当然、そんなキバが止めろと言われたところで話を止める気はないようだ。


「別にいいじゃん。事実なんだし」

「事実も何もあるか。くだらねぇ話なんてする必要もねぇだろ」

「くだらなくねぇよ。これって結構大きなことだと思うけど?」


 言い終わると今度はナルトに聞きたいよなと振ってくる。急に話を振られたナルトは、特に考えるわけでもなく聞きたいと返している。それに続くようにしてキバは「ほらな」と言うが、サスケにとってみればいい迷惑というものだ。知られてマズイことなどないが、あまり知られたくないものというのはあるものだ。それがこれというわけだ。
 そのことに気付いたシカマルは横から助け舟を出す。


「ったく、別にいいんじゃねぇの? とりあえず、終わったんだし」

「終わったからだろ。真っ最中って時だったら絶対無理なんだからさ」


 話すタイミングとしては、キバの言っていることは間違いではない。さっきの戦いの真っ最中にそんな話をされても仕方がない。出来る時といえば終わったこの時間ということになる。
 それは確かなのだが、シカマルが言いたいことはそういうことではない。この戦いも終わったんだし今はそういう話もなしでいいのではないかと言いたいのだ。それがキバには伝わっていないようで、更にはナルトにも伝わっていないようだった。


「そういう意味じゃねぇよ。本当、めんどくせー奴等だな」

「だったらどういう意味なんだよ」

「そうだってばよ。オレも気になるってばよ」


 明らかに話を聞きたいという気になっているナルト。その姿にはシカマルも溜め息が出そうになってしまう。
 どうやらシカマルの助け舟もこの二人にはあまり意味がないようで、そこにサスケが口を挟む。


「お前は知る必要もねぇことだ、ウスラトンカチ」

「んだと!? つーか、誰がウスラトンカチだってばよ!!」


 これから言い争いでも始めるのかと思うような二人の間にシカマルが入ってそれを抑える。さっきの今で口喧嘩でも始められたくはないというものだ。間に入ったお陰か、二人はいい争いまで発展することなく言葉を切る。ふと、呟くように言われた言葉に自然と笑みを浮かべる。

 今回のことで、ナルトとサスケの関係は自然と打ち解けたようだ。そうはいっても、また明日になれば元に戻っているのかもしれない。だけど、今までとは変わった関係になっているのだろう。
 クラスの仲間達との絆、大切な人への思い。
 様々な新しい気持ちが生まれた。それをこれから大切にしていかなければいけない。あえて大切にしようと思わなくても自然と大切にしていくことが出来るのだろう。

 オレンジ色の夕焼けの下。
 きっとあるはずの未来を瞳に映す。それが新しい素敵な未来になると信じて。










fin








アニナルEDの学園伝を見て、勢いだけで書いたお話でした。
ピクチャードラマDVDが出る前にそれぞれのシーンに話をつけてみたというものです。