【直球勝負の告白】



 いつもと変わらない教室。特に変わった様子は何一つない。授業もいつものように行われて今は休み時間だ。次の教科の準備をして読書をしている人や近くの席の人と話ている人。それぞれ自由に過ごしている。二年A組のクラスも同じような感じだ。
 ただ、どうやら一部の様子は少し違うようだ。


「サクラちゃん、好きだってばよ!!」


 直球一本の告白。遠回しに言いもせずにストレートに自分の気持ちを伝える。その様子を彼等の身近な友達が周りで見ていた。
 このストレートな告白をしたのは、先日他校の生徒とのやりあいで少々問題になったナルトだ。そして、その相手というのが同じクラスのサクラだ。本人曰く、一目惚れというものらしい。その気持ちを伝えようと思い、今に至っているというわけだ。

 だが、サクラはナルトの告白を右手のビンタで断わる。それには見ていた人達も驚いた。まさかこんな断わり方をするとは思わなかったのだ。
 サクラには今、好きな人が居る。同じクラスのサスケだ。彼を好きな女の子は多いがサクラも例外ではなかった。いきなりサクラのビンタをくらって、ナルトは頬を痛めたようで擦っている。


「酷いってばよ……」

「アンタが急に変なこと言うからでしょ!?」


 変なことではなく真剣な告白だ。ナルトはそう言いたくなったが、もう一発ビンタをくらうことになりかねないので言うのを諦める。意外と力を入れていたのか、ナルトの頬はまだ赤いようだ。
 周りでは「めんどくせー奴」「だからやめとけっていったのに」「サクラ、ちょっとやりすぎじゃない?」などとそれぞれ口にしている。ナルトに対するものでもあればサクラに対するものもあるが、当の二人には関係ないことのようで話が続けられる。


「けどさ」


 少しくらいは聞いてくれてもとでも言いたげに言葉を発するが、全く気にせずにサクラは言い放つ。


「アンタ、ウザイのよ」


 まさに一刀両断。意を決した愛の告白だったというのに、全く受け入れてもらえる様子はない。それが分かって、ナルトはガクンと肩を落とす。
 サクラが自分の席へ戻るのを見ると、周りで見ていたキバ達がナルトに声をかける。話し始めたかと思うと、チャイムが鳴ってしまった。まだ話したいことはあったのだが、すぐに席につくことになった。