【彼はどんな人?】



 一時間目が終了した後の休み時間。ナルトはシカマルの机の傍でいつものメンバーと話をしていた。


「シカマル、サスケってどんな奴?」


 真っ先に言った台詞がこれだ。それには「この間答えただろ」と返す。
 そう、昨日の昼休みに聞かれて答えたばかりの質問なのだ。何でまたこうもすぐに同じ質問をするのかと疑問に思ってしまうのも当然だろう。問われたシカマルだけでなく、その場に居るキバやチョウジもナルトの言葉に疑問をもっている。


「だってさ、今日学校着て話したんだけどさ話したって感じもしねぇっつーか……。オレの話を聞こうとしないしさ」


 今朝の出来事を思い浮かべながら説明する。この教室に本人が居るとはいえ、大声で話しているわけでもないのだから聞こえるものでもない。だからこうして話をしているわけだ。
 ナルトの説明を聞いたシカマルは「やっぱりな……」と呟いている。昨日聞かれた時にも思ったことでもあるが、最初からこの二人が上手くいくわけがないのだ。性格も正反対といえて、二人がどういう人なのかということを考えれば答えが出ないことはなかった。
 面倒なことに付き合いたくはない、と思うものの一応シカマルは二人の友人だ。このままにしていても仕方ないと思いナルトと話しをすることにする。


「そういう奴なんだよ。サスケは」


 だからナルトと最初から上手くいくわけがないと思っていたのだ。けど、ナルトは別のことが言いたいようで「でも」と言葉を発する。


「でも、悪い奴じゃねぇんだろ?」


 昨日のシカマルの言葉を聞き返す。それにはキバも「悪い奴じゃねぇよ」と言い、チョウジも頷いている。高校で初めて同じ学校に通い始めたわけではない相手だ。以前からサスケを知っているからこそそう言える。初めて同じクラスになった人に聞いたとしても、こんな言葉が返ってくることはおそらくないだろう。


「まぁな。やることになれば不本意なことでもしっかりやるっつーように責任感もあるからよ」


 例を上げれば学級会長みたいなもののことだ。サスケ自身がやりたくてなったわけではないのだが、なってしまったからにはやることはきちんとやっている。責任感があるからこそ不本意に決まってしまったからといって投げ出したりはしないのだ。
 責任感がある、と言い終えた後に「それに」とシカマルは言った。なかなか続けられない言葉にナルトが何だと問えば言葉は続けられた。


「それに、本当は良い奴だぜ? お前が信じるかは分からんねぇけど」


 悪い奴ではなく良い奴だと言う。キバとチョウジの方を見ても同意見だといいたげな表情をしていた。シカマルが信じるか分からないと付けたのは、ナルトがサスケと話をしているからである。直接話して少なからずサスケのことが分かったはずだ。だからそんなナルトが素直にそれを信じるか分からなかった。
 だけどナルトはシカマルの言葉が間違っているとは思っていなかった。シカマルが嘘をつくような奴ではないことも知っているし、キバ達も同意見だというのだ。ナルトよりも付き合いが長い人達が言うのだから間違いではないのだろう。

 けど、それなら本当はどういう奴なのかという疑問が生まれる。その疑問を解決するには本人と直接関わっていかなければいけない。ナルトは当然そうするつもりだった。
 チャイムが鳴り、次の授業が始まる。何も出来ない授業中、ナルトは先程のシカマルの言葉をただ考えていた。