3.いつも隣には君がいた
今日もいつものメンバーで一緒に休み時間を過ごしていた。授業と授業の間の休み時間なんて短いけれど、少し話す分にはそこまで短いとも感じないくらいの長さだ。学年が上がり、二学期の最初にした席替えで仲の良い友達が近くになったために移動せずに座ったまま話をする。
「そういえばさ、ナルトとサスケって幼馴染なんだよな」
言えば、そうだけどと返ってくるのと同時にそれがどうしたという言葉も返ってくる。そんな話は高校に入った頃にはもうしていたし、今更何だと言うのだろうか。二人してキバのことを見ていれば、別に大したことじゃないけどさと話を続けた。
「幼馴染ってどうなの?」
突然振られた話に一瞬悩む。けれど、その言葉を理解すれば次に出てくる言葉は沢山ある。
「どうって、悪くはないと思うってばよ」
「迷惑な時もあるけどな」
「ないってばよ!」
どの言葉から言えばいいだろうかと考えながら言葉を選ぶ。幼馴染はどういうものかと聞かれて、それを話すのにはやっぱり幼馴染の存在が関わってくる。昔から知っている相手なだけに遠慮もなければ色々なことを知っているわけでもある。どこをどう話そうかと考えずに時間さえあればいくらでも話せるのではないかとさえ思うくらいだ。
「どうだかな。いつも宿題を見せろって言ってくるだろうが」
「それは! 先生が難しい問題を出すからだってばよ!」
「お前が真面目に授業を受けてないだけだろ」
相変わらずの言い争いの様子をキバとシカマルは二人で見ている。この二人の言い争いというのも入学した頃からあったものだ。そのために、クラスでも二人が言い争いをしようとまたやっているというように見ているくらいだ。何かあれば言い争いや勝負事になったり、時には喧嘩になっているような二人だ。それでも幼馴染であって仲が良いという面もある。
もうお決まりとなっている言い争いを聞きながら「シカマルもチョウジと幼馴染だったよな」と話をすれば「コイツ等とは違うけどな」なんて話している。幼馴染でなくてもこういう相手はなかなか居ないだろう。
「やっぱりいいものなのか?」
「まぁな。互いのこともよく知ってるからやりやすいしな」
そう話すシカマルに「そっか。いいよな」と空を見ながら呟いた。幼馴染が居ない者としては、幼馴染という関係は見てはいても自分の経験はない。小さい頃から知っている故に知られたくないことまで知られてしまっていることもあるのかもしれない。でも、やっぱり幼馴染という存在が居るというのはいいもののように思う。友達は作れても幼馴染は作ろうとして出来るものではないからどうしようもないけれど。
目の前で言い争いをしている二人だって、なんだかんだ言っても結局は大切な幼馴染なのだ。ずっと一緒に居られる友達はいいものだろう。いくら口では何度も同じクラスにまでなって迷惑だと言っていても。それを本当に嫌だとは思ってはいないはずだ。
「結局は仲が良いんだよな」
聞いていないだろうと思っていつか言ったのと同じことを言えば「別によくねぇ!」なんて、言い争いを中断してまで二人で言ってくる。コイツ等はきっといつまでも変わらない関係でいるのだろうと心の中で思う。現時点でさえ去年とあまり変わらずにいるのだから。それ以前のことは知らないけれど、似たり寄ったりなのだろうと勝手に考える。おそらく間違っていないのだろうけれど。
「喧嘩するのは勝手だけどよ、もうチャイム鳴るから戻らねぇと遅刻になるぜ」
シカマルの言葉でさっきまでの言い争いをやめる。それから「宿題はやったんだろうな?」という委員長の言葉に「忘れてたってばよ」と焦る言葉が聞こえてくる。次に出てくるのはいつもと同じで「ノート写させて!」と頼むもので、やっぱりいつもと同じで「やらないのが悪い」と正論な答えを返している。それでも何度も頼むとナルトに言われれば、仕方がないといいながらサスケはノートを見せてやるのだろう。
そんな幼馴染の二人。いつでも隣にあるのは、幼馴染の姿。
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